ジェネンテック・遺伝子工学企業の先駆者
2014年 03月 27日
Genentechという世界で初めてのバイオベンチャーの創生期から株式上場までを追跡したドキュメント。Facebookで知人が紹介していたので読んでみた。
遺伝子組換え技術がどのように生まれたか、産業上意味のある組換えタンパク質の産生へとどの様につながったのか、またその技術の成功に対する科学界・世間の受け止め方は? 昔から遺伝子組換え実験を行ってきた自分にとって非常に興味深い内容だった(この内容をこれまで誰からも教えてもらわなかったことにも驚く)。大学の生物学の教員が産業界を兼任することへの批判が、アメリカにも昔はあったこと、「遺伝子組換え」に対する知的財産の考え方など、Genentechの成功がそれらを急速に変えていったことなども興味深い。
それにしても「バイオテクノロジー」とは何だったのだろうか(あるいは、何なのだろうか)?バイオテクノロジーにおける「成功」とは?
なぜ当時これほどまでに期待された産業が、そしてそれは期待以上の成功を収めたようにも見えるこの産業が、現在(日本では?)「停滞」を起こしているように見えるのだろうか?使い尽くされるところはあっという間に使い尽くされ、技術が急速に枯れてしまったのか。
Genentechの歩みをみれば、成長ホルモンの成功で一気に大企業となり、その他にはいくつかの組換えタンパク質を作った後に、抗体医療に用いられるモノクローナル抗体へと商品をシフトさせている(このくだりは本書にはない)。これは「組換えタンパク質」が医療応用に関しては行き詰まりを見せてしまったからなのだろうか?組換タンパク質を大量生産することでできる事は限られていて(あるいは、当たり目に出来るので富を産まなくなり)、「組換え生物」を利用した産業へと時代がシフトしていっているんだろうか?それも近年あまり進捗がないように思える。
「組換えDNA」は、業界にどれだけのことを生み出しどこへ向かっているのか、私はもう少し勉強しないといけない気がしてきた。
by hisaom5
| 2014-03-27 16:35
| 読書