独り言シーズン5


by hisaom5
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カテゴリ:研究( 6 )

ある程度実験データが溜まって来て、その解釈を考える。「過去の発見」と結びつけるために文献調査を始める。

「え〜もうすでにわかってたのか!?・・・いや違うな。」「お〜こんなことまでわかってんのか!」

1つ文献が見つかると、そこから芋づる式に大量の文献が引きずり出されてくる。最近の文献調査(Pubmed)の優れているところは、その文献が引用している文献だけでなく、その文献を引用している文献や関連する文献も見せてくれるところだ。特に前者は大事で、新しい文献から先に読まないと、過去の文献が否定されていたりして、読んだのが無駄(ということもないのだが)ということがしばしば起きる。

調査の初めの頃は、直感的でない難解な論文を読みながら苦しんだのが、実は後でそれがあっさり否定されていたりということが起きた。この分野はめまぐるしく論文が発表されているが、お互いに前の発表を覆しあっていて、「いったい何が真実なんだ」と思いたくなる。ただ、おおきな結論としては30年前の発見から何ら変わっていない・・・その説明がやたらと細かくなっているだけ・・・のような気がする。

そんなこんなで調査を進めていくと、どんどん最先端に行き着く。すると、「こりゃ手が出せんわ」というすごい研究に辿り着いた。私たちの技能ではとてもこんな仕事はできない、が、その「最先端の知見」はうまく私たちの研究と符合しそうだということは分かった。

サイエンスの峰は巨大だ。が、その一部くらいには登りたいものだ。最先端のサイエンスの進歩を(文献から)追体験しつつ、その知見を利用できるというのも幸せなことだろう。


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by hisaom5 | 2015-03-06 19:34 | 研究
タイトルの問題は、実はずっと悩んでいるところであり、まだ答えは出ていない。けどそれに関して少し考えさせられることがあったので書いてみる。

TwitterのTLを見ていると、大学教員が「お前の研究、のんびりやってる間にもっと頭良くて勤勉な他の国の誰かがやっちまうぞ。」とつぶやいていた。

私はこのひとのフォローはしていなくて、別の人がリツイートしたから流れてきた。情報工学系の人で、カルチャーがあまりにも違うのでフォローするのをやめていたのだ。今回もこのTweetをみて、非常に違和感を覚えた。RTしてさらにコメントを付けるような事はしないが、でもちょっと意見を述べたい。

このTweet、のんびり研究をやっている学生を鼓舞するために行ったTweetだろう。だが、天邪鬼の(?)私からすると、「だったら、そもそもその人がやる必要ないじゃん」と思ってしまう。研究が、なにか問題を解決して人類の未来に貢献しようするものであるなら、「もっと頭が良くて勤勉な他の国の誰かがやる」のであれば、その人に任せておけば良い。

企業の研究開発競争、知的財産の奪い合いの場にあれば、これは正義なのかもしれない。しかし私たちはアカデミアだ。問題解決のためにやっているのだから、だれが解こうと問題ではない。それも、「もっと頭よくて勤勉な誰か」が取り組んでいる問題なのだったら、「それよりも頭が良くなくて勤勉でない」自分がその問題にアタックする必要がない。テーマの選定ミスだ。

私は昔から、自分のテーマですら、「この問題誰かといてくれないかなぁ」と思うことがあった。私は知りたくて研究をやっているので、誰がその問題をといてくれても別に構わなかった。もちろん、それでは自分がその研究に貢献できず、論文も発表できないわけだから、研究者としては食っていけないという別の問題はあるのだが・・・。

頭よくて勤勉な誰かが問題解決に挑んでいるのであれば、同じように頭よくて勤勉な人間でない限りそれに挑む理由がない。自分が頭が良くて勤勉であることを自負していないのであれば、その人独自の切り口のある他のテーマを選ぶべきだろう。自分が挑む意味・意義のある問題に取り組んでいる、と人は思いたいものではないだろうか。


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by hisaom5 | 2015-02-19 22:12 | 研究
「以前、あなたは共同研究の同意をした、その時の仕事がまとまった。論文を投稿するから内容をチェックしてくれ(英語)。」という突然のメール。

忘れてはいなかった。ずっと気になってはいた。

この共同研究は、分野の超大物からの、かなり型破り(というか常識違反)なオファーで始まり、こちらにはメリットしかないものだった。2年以上前の事で、ずっと音沙汰がなかったので、多分「同意」は、ないがしろにされているかテーマがポシャったんだろうと思っていた。

それが、きっちりとした仕事としてまとまっていた。大学院生がテーマを受け持ったようだ。実験の多くは、実際に私たち自身でもやろうと計画したもので、非常に近いデータも持っている。だが、うまくまとめきれずにパブリケーションに持ち込めなかった。それが粘り強い実験できれいなストーリーとして出来上がっている。その中に私たちの貢献もきちんと入っている。

以前のメールを見なおしてみた。2012年5月である。その時点で、彼らがやろうとしていることがリストされていた。そして、その計画通りにきちんとデータをだし、結論を出している。

課題に向けて研究内容を設定し、粘り強くデータをだし、きちんとしたストーリーを作る。「共同研究にしたい」と言った責任をきちんととる。超大物たるゆえんを感じた。

今年の初めには、もう一人の超大物からの共同研究のオファーももらった。何かが動き出しているぞ!
どこまで攻められるか、それは私次第。がんばろう。


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by hisaom5 | 2015-02-11 12:17 | 研究
9月半ばまでの学会・研究集会期間がおわり、「書きもの期間」が始まった。

まずは研究者向け国内雑誌の原稿。これはなんと特集の監修を任されていて、12月の学会でどど~んと売り出す予定となっている。

自分が担当の原稿をまずは仕上げ、他の著者先生方の原稿が全部集まったらその内容をふまえてイントロダクションの原稿を書く必要がある。

今日自分の原稿を書き上げて送った。執筆がなかなか軌道にのらず憂鬱な日が続いたが、途中から一気につながって、自分的には面白いものが書けたと思っている。

他の先生方から続々と提出されてくる原稿もおもしろく、「こりゃ結構面白い特集になりそうだ」とワクワクフェーズに入っている。まあ実際、読者がどう思うかは分からない。ただそれは私の責任でもあるけど、こんな特集を組もうと考えた編集者の責任のほうが大きいだろう(と、逃げを打っておく)。

年末に向かってこういう「企画」がいくつかある。どれもこれもチャレンジングだが、とても楽しそうなものだ。

そして、「書きもの」中でも最も重要なものが来月にある。そう、科研費の申請書だ。

この科研費が来年とれなければ、私の研究は終ったも同然・・・まあそこまではいかないが大幅に失速し、振り出しに戻ることすら考えなければならない。まさに死活問題だ。

だがそういうなかで、どんな研究提案をしようかと考えを膨らませていると、思考が一気につながってくることがある。「この提案ならイケる!」と興奮できる時がある。実は、日々の生活のなかでその時が一番ワクワクしているかもしれない。

「これで研究費がとれる。そして研究が進み、面白い・重要な成果として発表できる!」そういう思想が一気につながるのだ。今回もそのステージが来た。あとはそれを説得力のある文章にする作業だ。

時期を前後して上の国内誌の原稿があったことが良かった。そちらの原稿を書いているうちに思考が膨らんで、研究提案にもうまく繋げられそうに思えた。もちろん、まだなんにも書いていないのだから、どれだけ良い提案が書けるかはこれからの頑張り次第なのだが。
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by hisaom5 | 2013-09-27 19:53 | 研究
前期の講義の担当分が終わって実験をやりまくった。ある面白そうな仮説があってそれが証明できたらすごく面白そうなことになりそうだったからだ。誰かにやってもらうこともできるが、まあ自分がやるのが一番早かろう。

ということで手を付けた。その他にも、昨年学生が残していった仕事の追試をやったり、無難な論文用のデータを出すための実験もやりつつ。

で、途中まではとてもうまくいっているように見えた。「こりゃ仮説どおりじゃねぇの?」と。ところがある程度データが溜まってきてから確認の実験を行なってみたら、ミスを発見。仮説は間違っている可能性が濃厚になってきた。

ふぅ。

新たに実験を始めてから1ヶ月。まあいくつか論文に示せるデータは出た。上記の追試と無難実験のデータ。

でも新機軸になると考えていた仮説はどうも違っているっぽい。そうなるとまた新たな機軸を構想しなければなるまい。昨年末のでっかい仕事が終わった後の、今後5年の構想がまだ見えてこない。
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by hisaom5 | 2013-07-27 14:55 | 研究
私は、プラスミドと呼ばれる環状の小さなDNAを構築し、それを酵母細胞に入れ酵母がどうなるかを観察することを、ずっと繰り返してきた。

観察の仕方はいろいろだ。酵母の増殖速度をみたり、酵母の形態がどう変わるかを顕微鏡で見たり、酵母の中で働いているタンパク質の量や性質がどう変わるかを見たり、酵母の中で働いているタンパク質の存在場所がどう変わるかを見てみたり。

でも結局は、「プラスミドを構築し、酵母に入れ、酵母を観察する」というサイクルには変わりがない。

プラスミドを構築するときには「設計図」を作る。自分達の仮説を証明できるように、様々な「部品(DNAの配列)」を組み合わせたり変異を入れたプラスミドを設計し、そのとおりに作る。

プラスミドの作成の過程にはプラモデルを作っているような楽しみがある。昔は何段階もかけて目的のプラスミドを構築していたが、今はどんなプラスミドでもほぼ一発で構築できる技術が存在する。

それを酵母に入れる。2日後、うまく行けば寒天培地の上に酵母が生えてきてコロニー(細胞の集団)を形成する。

研究室に来たらカバンを背負ったまま培養器を開けてコロニーが出ているかを観察する。一刻も早く自分の実験が成功したかを知りたいからだ。コロニーが生えているかをもっと早く知りたいときには、実体顕微鏡で拡大してコロニーを見てやる。これなら1日目にうまくいっているかがだいたい分かる。

これは植物の種をまいて双葉が生えてくるのを観察するような喜びなのかもしれない。細胞が増える・コロニーが生えるという現象は、人にとって見ているだけで楽しいことなのかもしれない。

2日たってもコロニーが生えてきていなさそうなら、実験が失敗している可能性がある。すかさずもういちど酵母にプラスミドを入れる実験を繰り返す。でも生えていない培地は捨てない。実験台の上に放置する。すると何日かたってからコロニーが出てきたりして、それが新たな発見につながることもある。

コロニーが生えてきたらじっくりと見る。大きさは均一か、いびつな形をしていないか。これらが重要な情報を持っていることもある。

生えてきたコロニーを拾い上げる。ねっとりとした酵母細胞のかたまりを次の培地に移す。自分が作り上げた作品(プラスミド)を細胞内に持つ酵母、自分の仮説を証明してくれるかもしれない酵母。なんだか愛おしい。

そして酵母をいろいろな方法で観察し、その結果をもとに、また次のプラスミドを設計する。

たいていの場合、思ったような結果は出ない。自然はそんなに甘くない。簡単に真実を見せてはくれない。だからいろんな仮説を作っていろんな可能性を考えて、たくさんのプラスミドを作って酵母に入れる。

思ったような結果が出ないとしょんぼりするが、あらたに仮説を考えそれがうまく証明された時のことを考えると、全身が湧き立つようなワクワク感がある。だからとにかく実験を繰り返す。

プラスミドを設計し、構築し、酵母に入れ、酵母のコロニーが生えてくるのをまつ。私はこれをずっとずっと繰り返してきた。
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by hisaom5 | 2013-07-15 19:20 | 研究