独り言シーズン5


by hisaom5
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「どう書くか」杉原厚吉

どう書くか―理科系のための論文作法

杉原 厚吉 / 共立出版



杉原氏の文章作成術の本「理科系のための英文作法」はいい本だった。

最近、Twitterで本書をやたらと薦めている人がいて、そのつぶやきの本書からの引用だけを読んでいると、とてもためになりそうな気がした。

「論文を書くのが億劫だという人に対して、論文を面白く読者を引き付けるように書くにはどうしたらよいかということを指南し、それによって論文を書くという作業を楽しくする」という内容だとのこと。

文章を書くのに苦しんでいる私には朗報じゃないか。

でも私には全く役に立たなかった。「推理小説を書くように論文を書くのだ」と言われたって簡単にできるようにならん。それを具体的にどうやるかは一部例があるものの、技術として指南されていない。要するに「そういう風に考えて書いてみたら?」という提案に過ぎない。2000円以上払ってこの本を買う価値はない。

前半は割と「論文を書く」という基本ができている人に次のステップへの指南、後半はなぜか普通の文章術の解説(それ自体は悪くないが、どこかで見たものの焼き増し)。最後は論文を書くときの基本的注意。順番がおかしい。

あ、これが筆者が本文の中で言っていた「核心を先に書く」ってことなのか?・・・失敗している。

いずれにせよ私には全く役に立たかなった。こんなこと日頃から心がけていることだし、でもなかなかうまく行かないと思いつつ、さらに執筆に苦労している私にとっては。だって「読者を楽しませる」ってそれが一番むずかしいことじゃないか?それを意識すると余計に論文を書くのが億劫にならないか?

要するに筆者が非常にレベルが高い文章家だということにすぎない。私もそこに到達したいと日々努力しているが(その姿勢自体は筆者に近いのか?)、だからといって文章を書くのが辛いのは変わらない。
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by hisaom5 | 2013-05-28 18:09 | 読書

生物とは何か―我々はエネルギーの流れの中で生きている

劔 邦夫 / PHPパブリッシング



講義で「リシン」について調べることがあって、リシンはアミノ酸のLysineと先日アメリカの大統領に送りつけられた猛毒Risinがあるのだが、後者のWikipediaを読んでみると、その毒のメカニズムを解明したのが山梨大学元教授の劔邦夫だとかいてあった。どっかで聞いた名前だなともう少し調べてみたら、後年酵母の代謝振動について研究していた人で、元同僚もその代謝振動をやっていたこともあり、その名前を存じ上げていた。

Googleってみると上記の本を出版されているようで、ちょっと面白そうなので買って読んでみた。

どうも物理学の概念が好きな人のようで、複雑系や量子論を始めとしてかなり噛み砕いてい書いているのだが、逆にこの人本質的にわかってるんだろうか?と疑問になる。

基本的には彼が後年研究していた「代謝振動」の話が中心。「代謝振動こそが生命だ、とまでは言い切らないけど、これが大事よ。」というような話だ。

最初は「おっ!?」っという内容も見られ、私の仕事のブログでも取り上げようかとおもったが、読み進めるに連れて「引退した爺の戯言」であることがわかり、こっちのブログに降格した。

最後のほうは論文が通らなかったことをさんざんぼやいていて、「遺伝子パラダイム」のせいにまでしているが、そうじゃないだろう。妄想的すぎるのだ。

彼の中心的な仕事である酵母の代謝振動の話にしたって、「なぜ同調するのか?」が書かれていない。同調していない細胞の振る舞いは彼のやっている実験系では検出できない。となると細胞はお互いに相互作用しているはずなのだ。そして、それが代謝振動を生むメカニズムに組み込まれなければなるまい。

読みやすい文章なので一気に読めたけど、戯言として受け止めるしかない本だった。
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by hisaom5 | 2013-05-08 09:15 | 読書