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独り言シーズン5


by hisaom5
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ここからの研究ービジネスモデルの転換

さきがけアドバイザーのK先生と話していて、いろいろ吹っ切れるところがあった。今後の研究をどう展開していくか、一旦ビジネスモデルをリセットして、もう一度自分のやりたいことをじっくりと考える機会にした方が良い気がした。

論文を刻まなければ(数がなければ)成果がないとされる。しかし、K先生ご自身の体験はそれとは全く逆だ。本当に後に残るオリジナリティの高い仕事をやってしまえば、刻む必要などない。「ポジションは向こうからやってくる」らしい。

学位をとったりポジションを得たりするためには、どんな論文でもとにかく発表しておかなければならない。学位の期限やポスドクの雇用期限など、時間は待ってくれない。

ひるがえって今の私はどうだ。時間はたっぷりある。この数年のように張り付いて指導しなければならない学生もいない。実験テーマのグレードを下げて刻む必要はない(これはこれで論文の数は出たのだが)。

今までの研究成果の少し先にある解きたい謎に関して、実験をいくつか計画してそれぞれを行っていくという積み上げではなく、思いをもっと外側に巡らせてこれが解けたらメチャ面白いというテーマを探して実行する。

再びそのステージに立てている気がする。思えば数年前に今のテーマと出会った時には、ものすごく興奮した。今それを続けてはいるが、当時の興奮はない。再び自分を奮い立たせてくれるようなテーマをもっとじっくりと探すべきだし、それを実行していい場所にいる。それに気がついた。

歳をとるとアイデアが枯渇する?

K先生を見ていればそんなことはない事がよく分かる。じっくりと考えなくなっているだけなのだ。

アイデアを実現してくれる学生がいない?

本気でやりたいものなら自分でやったほうが早い。お金もかからない。他人に任せられるテーマなんて、本当にやりたいものじゃないんだ。

学生の指導が基本になっている研究室だとそんなことを言っていられない(学生がよっぽど自立していない限り)。PIが気持ちよく研究するスペースだってなくなる。

今私に与えられている境遇は、科学者としてなんと素晴らしいものなのだろうと心底思った。この一年はその「ビジネスモデルの転換(あるいは復元?)」に気づいていなかった。

「ラボに入ろうプロジェクト + K先生とのお話」は、今後の私のサイエンスの舵取りを大きく変えるかもしれない。
by hisaom5 | 2014-01-25 10:11 | 雑記