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独り言シーズン5


by hisaom5
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科学の困ったウラ事情

科学の困ったウラ事情 (岩波科学ライブラリー)

有田 正規/岩波書店

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なかなか現役研究者自身の口からは言い難い「ウラ事情」を舌鋒鋭く語る。使われているちょっとした言葉の数々に非常に強い皮肉が込められているのが流石だ。また、「ウラ事情」がすべて悪いことばかりではなく、そのメリットについてもバランスよく語られている。特に私たちのような中堅の研究者にとってはうなずけることが多いはずだ。酒の席などではよく口にするが、決して公には語れない部分がたくさんある。それはそれこそいつブーメランになって帰ってくるかわかからないからだ。それをよくここまで書いたと思う。

一方で、この本が誰にむけた本なのか、それがはっきりしない。私たち中堅研究者にとっては、「現状のおさらい」、だからといってどうすることもできず(あるいはどうかしなければならないとも思わず)、若い研究者への教訓もあまりない。既得権益のボスたちは無視するだろうし、既得権益に入れなかったシニアな研究者はこのウラ事情の中にいない。・・・というような無力感を感じているのが今の中堅研究者であり、「そんなことではいけない」「なんとかしなければいけない」という強い意志がこの本なのかもしれない。



# by hisaom5 | 2016-03-08 19:58 | 読書

カエルの楽園

カエルの楽園

百田尚樹/新潮社

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話題の書(?)ということで本屋に駆け込み早速読了。国防について考えさせる寓話として非常に評価は高いようだ。

まあ確かに面白い本ではあったが、さすがに各国(人)を動物に例えるのは無理がないか?特に、同じ人間どうしを異なったカエルの種に例えるのはかなり違和感を感じる。人類という同一種内での争いと、カエルではありながらも異なった種(アマガエル・ツチガエル・ウシガエル)の間の食物連鎖の争いと同義に扱ってはいけない。

「隣国人は、(同じカエルに見えるが)自分たちを食べる恐ろしい種である」とはじめから定義されている。寓話というジャンルはそういうものなのかもしれない。偏った平和思想(楽園思想?)を揺り戻させるにはこれくらいの衝撃が必要と筆者は考えたのかもしれない。だが逆に、この本の思想を手放しで礼賛することにもつよい嫌悪を覚える。



# by hisaom5 | 2016-03-07 19:25 | 読書

3度目のハーフマラソン

日曜日は3度目のハーフマラソン。真剣にランニングを始めて、初めて走ったのが2年前のこのハーフマラソンだった。記録は1時間59分ちょうど。レースが終わった後は足が痛くてまともに歩けなかった。それが悔しくて一年トレーニングして、昨年の記録が1時間45分52秒。キロ5分で走るという目標はほぼ達成した。

で今年。できれば1時間40分を切りたい。つまりキロ4分40秒で走り続けるという目標を設定した。それに合わせてトレーニングをしようとしたのだが・・・思ったようにできなかった。練習時間があまりとれず、取れた時にもキロ5分ペースでヒーヒー言ってる。一年歳をとったせいか、とても4分40秒のペースは維持できない。ということで「最低でも昨年の自分よりは早くゴールすること、4分50秒ペースで走れれば満足しよう」をゆるめの目標にした。

という状況で望んだレース。一つだけ決めていたことは、スタートロスをゼロにすること。つまり、なるべくスタートラインに近いところから、早い人の集団に紛れて走るということだ。これがうまくいけば、スタートロスのあった昨年よりは速いタイムが出せるはずだ。幸いなことに風もほとんどなく温かい天候。障害となるものはなさそうだ。

というわけで、スタートが見える位置から早い人達と一緒に飛び出した。スタートロスはほぼなし。最初の1キロのラップは4分44秒。次の1キロが4分35秒。さあこのペースがどこまで持つか。まわりの人たちは流石に私よりも早く、少しずつ逃げられているような状態で走り続けた。抜かれてばっかりであまり抜くことはなかった。

今回は心拍モニターも装着して走った。ただ、モニターのせいなのか私がそもそも心拍数が高いのか、レース中はほとんど「無酸素運動ゾーン」で走っていることになっていた。後半に向かって徐々に心拍数が上がっていった。

ペースはほぼ4分40秒前後。これがどこまで続けられるか、足は持つか、心臓は大丈夫か、と常に思いながら走る。中間地点は50分ちょうど。まさに想定通りのタイム。ただ、その時点でもとてもしんどかったので、後半にはペースが落ちてくるだろうというのは想像できた。ランタスティックを起動しながら走っていたが、例によってランタスティックのGPSの走行距離が、実際の距離よりも少し短く、100m程度手前でラップタイムが刻まれている状態だった。

後半は、我慢我慢。心臓破りの折り返しを過ぎると太ももにも疲れが感じられた。1キロ毎にゴールまでの距離が縮まってること、ラップタイムがまだ4分40秒台であることを確認して自分を勇気づけて走り続けた。ラスト5キロでエナジージェルを入れた。

残り3キロはもう気力のみ。足を前に出し続ければ必ずゴールはやってくると言い聞かせゴールを目指した。そして、ゴール。タイムは1時間40分48秒。今年からネットタイムも出るようになっていて、それは1時間40分32秒だった。

少し膝に来ていた。さらに、また足の裏にマメができかけていた。フルの時にこれが大きなトラブルのもとになった。次までに対策が必要だ。

結果としては、ほぼ(きつめの)目標を達成できた。間違いない勝因は、前の方からスタートしたことだろう。もちろん一年間、フルマラソンも含めて走り続けたおかげもあろうだろう。だが、練習も含めてとにかくしんどかった。自己新記録を目指し続けるのはしんどい。まそりゃそうだ。ギリギリを攻めてるんだから。

でもそろそろこのくらいで満足したら良いんじゃないかと言っている自分がいる。ランニングを楽しめなくなってしまうから。とは言え、フルマラソンのサブフォーだけは達成しておきたい。さらに、しんどかったレースが終わって数日経った今日には、また記録への欲望が沸々と湧いていたりもする。

頑張ったご褒美に今週は暴飲・暴食させてもらう。


# by hisaom5 | 2016-03-02 19:34 | 日記

カンター教授のジレンマ

カンター教授のジレンマ

カール ジェラッシ/文藝春秋

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二度目。以前に買って、読んで、ラボの書棚に置いてあったものをもう一度読んだ。大筋は覚えていたが結末など忘れていることも多かったので読みなおした。

いわゆるSTAP細胞問題では、小保方氏が捏造したとして非常に大きな批判・批難に晒されたが、研究者の捏造は特に珍しいことでもない。そういうスキャンダルは度々起きてきた。この小説では、ノーベル賞を受賞する師弟の間での「もしかしたら捏造があったのではないか?」というジレンマが描かれる。それだけではなく、科学者という一見理性のみで生きていると思われている集団が、如何に人間的でドロドロとした感情を持って科学の営みを行っているかも描かれている。

本編と関係あるのかないのかわからない複数の男女関係が少し邪魔くさい気もするが、それが良いスパイスとなってよりこの物語を面白くしていると考えられなくもない。

結局、この本のもっとも重要なメッセージは、原著者のあとがきにあるように思う。チャールズ・バベッジの言葉の引用や、「パラダイム的科学」の持つ性質。真に独創的な発見のためにはデータに潔癖になりすぎてもいけない。革新的な科学の進歩は人間の脳によって創りだされる。データの奴隷になってはいけないのだ。



# by hisaom5 | 2016-02-13 16:52 | 読書

火星の人

火星の人

アンディ ウィアー/早川書房

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言うまでもなく(?)、現在公開中の「オデッセイ」の原作。めちゃくちゃ面白い。それなりの長さの本だが週末を使って一気に読んでしまった。映画も見るべきか。



# by hisaom5 | 2016-02-08 19:52 | 読書