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独り言シーズン5


by hisaom5
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年末にビッグニュースが飛び込んできた(身近な人達の間ではすでに噂になっていたらしいが)。業界のイケイケ教授が研究費不正を行っていたというものだ。最も顕著なものは業者への預け金。それが一億を越えるとか。

このニュースを聞いて、(自分は今預け金をしていない)多くの研究者のレスポンスは、「まだそんなことをしている研究者がいるのか?」と言うもの。そう、確かに10年ほど前までは預け金はみんな普通にやっていた。それがいい悪いは別にして、それで大きな問題になるという認識はなかったのだ。これは研究者に限らず行政組織でもそうだったと認識している。

だが2006年のいわゆる松本和子事件で状況が変わった。検収制度というのが出来て、ちゃんと注文したものが納品されているのかを機関の第三者がチェックするという制度ができた。私も、その時の制度の大きな変化に驚いたことを憶えている。それと同時に、この時から研究者の間では「預け金をしたらアウト」という認識も広まったはずだ。

私は詳細は知らないが、その後、「預け金をしているなら今言って精算したら許してやる通知」というのがあったらしい(それも2度ほど)。それにもかかわらず言い出さず、あとで預け金がバレて処分を受けた研究者を何人か知っている。その研究者たちは、時流を読めなかった犠牲者とも思える。

さて、私の想像だが、件の教授のケースでは、あまりに額が大きすぎて「許してやる通知」の時に言い出せなかったのではないだろうか?報道によれば「許してやる通知」で5億円ほどの預け金が出てきたらしいが、1人の研究者がそれに2億円も上乗せしたらやはりただことでは済むまい。それで言い出せず、かと言ってそんな大きなお金を今動かしたら、「一体どこからそのお金が出てきたの?」となってしまう、まさにがんじがらめの状態だったのではないだろうか?

この預け金が、件の教授がごく最近動かしていた巨大研究費からのものではなく、10年程度前の研究費からのものであることがそれを物語っているように思う。もし、ごく最近の巨大研究費からも預け金をしていたとなると、言い逃れのできない確信犯だということになるだろうが・・・(一億円以上も預け金があってそれ以上必要とは思えないが)。

さて、巷(Twitter)では、この研究費不正によって、また研究費の使用について締め付けが厳しくなるだろうという意見がある。しかし。私はそうは思わない。なぜなら、上記のように、この不正は締め付けが厳しくなる前に行われたものであり、それが言い出せなかったことが最も大きな原因だと思うからだ。

現在の「締め付け」は十分に機能しているし、それによって研究者の倫理観も変わった。だからこれ以上締め付けが強くなるとは思えないのだ。

最後に。イケイケ教授の講演を少し前に聞いたが、氏のぶっ飛んだ仕事はこれからさらに大きく弾けそうな雰囲気を感じさせていた。ここまで積み上げてきたものが霧散するというのは、不正が如何に恐ろしいことかということだ。

52歳であれば、いよいよこれからというところ。それが終わってしまうのはとてももったいない気がする。だがどうなのだろう?3−5年の公的研究費執行停止期限の後、氏はまた復活するのだろうか?氏ならばあり得る気がする。ただ、2億円以上の不正経理の落とし前がどうなるのかは、私には想像ができない。
# by hisaom5 | 2015-12-26 17:32 | 雑記
マラソンを始めてからだと思うが、私は昼食でサラダバーを持ち帰って食べている。主には炭水化物をへらし、体重をコントロールするためだ。

大学の生協では、サラダバー(実際には唐揚げや焼きそばなどもある)が用意されていて、それをプラスチックのパックに入れて持ち帰れる。重さで料金が決まる。

刻みキャベツを底一面に敷き、そこにブロッコリーやオクラ、アスパラガス、枝豆、和え物を乗せていく。ひじきものせる。少しだけ焼きそばやたこ焼きをのせ、最後に鳥の空揚げ(あまからソース和え)を数個のせる。和え物などには味が付いているのでドレッシングの類はかけない。

これを持ち帰り、インスタント味噌汁と一緒に食べている。基本野菜が好きなので飽きない、どころか、この昼食が楽しみですらある。この昼食を始めてから、野菜を大量に食べたい欲求がなくなった(そりゃそうだ毎日たくさん喰ってんだから)。

それはそれで良いのだが、生協食堂の職員、特にレジのおばちゃんには、私は「サラダバー持ち帰りの人」と呼ばれているのではないだろうか?

時々サラダバー以外のものを食べたりすると、「この人今日はどうしたんだろう?」と思われているのではないだろうか?「あれ、今日はいつもより軽い」と思われているかも知れない。

ある時、「サラダバーの重さピタリ賞キャンペーン」をやっていた。秘密の重さどおりにサラダバーをとったら、サラダバーが無料になるというキャンペーンだ。なんと私は偶然にもその賞をゲットしてしまった。キャンペーンを知らなかった私は、ハカリの数字を見ておかしな挙動をしているレジのおばちゃんを見て、何かやらかしてしまったかと焦った。その直後に、おばちゃんはカランカランとベルを鳴らし、「ピタリ賞なので料金はいりません」と言った。

とても恥ずかしい体験だった。私はおそらくその日から、「ピタリ賞を出したサラダバー持ち帰りの人」と呼ばれることになっただろう。名誉なことだと思うことにする。



# by hisaom5 | 2015-12-18 19:32 | 日記

「財産」と「ゴミ」

ようやっと懸案の論文の続きを書き始めた。と言ってもそう簡単にエンジンはかからないので、訳し残していたところを英訳し始める。とにかく、今月中には仕上げたい。そういう意思を持ってやらないと絶対に片付かない。

さて、この歳になって財産とは何かと考えることが多くなってきた。お金の財産ではなくて、私が研究者として積み上げてきた財産だ。これは世に発表されたものだけではなく、私の頭脳自身に蓄えらているものも含んでいる。

私が大学の教員として、「後世に伝える」という役割をになうようになってきたからかもしれない。

あるいは、今までどこかに書き散らしてきたもの、言い散らかしてきたものが、「国立大学の准教授」という立場での発言だということになり、世の中が勝手にそれに権威付けしているからかもしれない。

はたまた、私が書き散らかしてきたものの価値が、今にして世の中に認識されてありがたがられているのかもしれない。

いずれにせよ、以前にも書いたように思うが、過去の栄光、財産で生きていくのは、研究者としてみっともない。転石苔むさず、常に新しいものを追い求め最先端を掘り進めて行かないで、何が研究者か。という思いがある。

一方で、自分が生み出した財産に対して、それを求める人がいるのであれば、しっかりとそれに答えていく義務もあろう。

財産で食っていく、仕事をしていくのは気持ちが悪いが、一方でそれ無しで私という人間はありえないわけで、またそれを期待している、必要としている人達がいるのであれば、それを与えないのは逆に私という人間のこれまでの人生に対する責任を果たしていないとも言える。

で、タイトルなのだが、特にネット上にある書き散らかしの大半はゴミである。あるいは本人やその周りの関係者のみにはとても意味のある情報かも知れないが、大半の人間にとってはゴミである。

ここ数年のSNSの容易さは、ゴミをネット上に大量に撒き散らすことを助けた。そのことによって、これまで比較的たどり着きやすかった有用な情報が埋もれてしまった。

しかしまた近年になって、ゴミ(あるいはノイズ)からまたうまく情報を引き出せる時代に戻ってきたようにも思う。人々が本当に価値のある情報にたどり着くためのスキルをまた身につけつつあるのかもしれない。

いずれにせよ、様々なツールを使いつつネットをうまく使うことは、やはり研究者、というか私にとっては続けるべき大切な活動なのだろう。
# by hisaom5 | 2015-12-08 20:37 | 日記

職業としての小説家 (Switch library)

村上春樹 / スイッチパブリッシング



村上春樹はそう好きではない。ノルウェーの森や幾つかの小説は読んだが内容はあまり覚えていない。IQ84は6巻までは辿り着いたが完読できなかった。でもやはり偉大な小説家であることは確かで、この本について切り取られた宣伝文句を見てやはり読んで見る必要があると感じた。

小説、小説家についての認識を改めることになった。締め切りに追われてなんとか原稿を間に合わせる小説家像とはまったく違っていた。

書くことに困ったことはなく、スケージュルライティングを実行し、たとえ長編小説でも何度も推敲して文章を書き直す。自分の「作品」に対するこだわり。文章で作るアートとはこういうものなんだと。

科研費申請の前に読み始めたが、残念ながら流石にこの本は申請書書きの参考にはならなかった。が、そういう小手先のテクニックではなく、もっと大きなものを学んだ気がする。
# by hisaom5 | 2015-11-05 20:38 | 読書

優雅な留学が最高の復讐である 若者に留学を勧める大人に知ってほしい大切なこと

島岡 要/医歯薬出版

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この著者の本は何かと気になって買ってしまう。これまでは「いろんな情報を寄せ集めてまとめで本にしただけじゃん」という感想が強くて、あまりよい読書をした気にならなかったのだが、これは良かった。サブタイトルが「大人に知ってほしい大切なこと」とあるように、むしろ私たちの年代の「大人」に対するメッセージ。作者独自の主張も納得のいくもの、かつ勇気づけられるものだった。

「留学」がメインテーマのように見えて、その実「どう自分の価値を高めていくか」という話なので、留学する・しないを考えていない人も読んで損はない。今後、何度も読み返してもいい本だと思う。


# by hisaom5 | 2015-10-16 18:39 | 読書