年末にビッグニュースが飛び込んできた(身近な人達の間ではすでに噂になっていたらしいが)。業界のイケイケ教授が研究費不正を行っていたというものだ。最も顕著なものは業者への預け金。それが一億を越えるとか。
このニュースを聞いて、(自分は今預け金をしていない)多くの研究者のレスポンスは、「まだそんなことをしている研究者がいるのか?」と言うもの。そう、確かに10年ほど前までは預け金はみんな普通にやっていた。それがいい悪いは別にして、それで大きな問題になるという認識はなかったのだ。これは研究者に限らず行政組織でもそうだったと認識している。
だが2006年のいわゆる松本和子事件で状況が変わった。検収制度というのが出来て、ちゃんと注文したものが納品されているのかを機関の第三者がチェックするという制度ができた。私も、その時の制度の大きな変化に驚いたことを憶えている。それと同時に、この時から研究者の間では「預け金をしたらアウト」という認識も広まったはずだ。
私は詳細は知らないが、その後、「預け金をしているなら今言って精算したら許してやる通知」というのがあったらしい(それも2度ほど)。それにもかかわらず言い出さず、あとで預け金がバレて処分を受けた研究者を何人か知っている。その研究者たちは、時流を読めなかった犠牲者とも思える。
さて、私の想像だが、件の教授のケースでは、あまりに額が大きすぎて「許してやる通知」の時に言い出せなかったのではないだろうか?報道によれば「許してやる通知」で5億円ほどの預け金が出てきたらしいが、1人の研究者がそれに2億円も上乗せしたらやはりただことでは済むまい。それで言い出せず、かと言ってそんな大きなお金を今動かしたら、「一体どこからそのお金が出てきたの?」となってしまう、まさにがんじがらめの状態だったのではないだろうか?
この預け金が、件の教授がごく最近動かしていた巨大研究費からのものではなく、10年程度前の研究費からのものであることがそれを物語っているように思う。もし、ごく最近の巨大研究費からも預け金をしていたとなると、言い逃れのできない確信犯だということになるだろうが・・・(一億円以上も預け金があってそれ以上必要とは思えないが)。
さて、巷(Twitter)では、この研究費不正によって、また研究費の使用について締め付けが厳しくなるだろうという意見がある。しかし。私はそうは思わない。なぜなら、上記のように、この不正は締め付けが厳しくなる前に行われたものであり、それが言い出せなかったことが最も大きな原因だと思うからだ。
現在の「締め付け」は十分に機能しているし、それによって研究者の倫理観も変わった。だからこれ以上締め付けが強くなるとは思えないのだ。
最後に。イケイケ教授の講演を少し前に聞いたが、氏のぶっ飛んだ仕事はこれからさらに大きく弾けそうな雰囲気を感じさせていた。ここまで積み上げてきたものが霧散するというのは、不正が如何に恐ろしいことかということだ。
52歳であれば、いよいよこれからというところ。それが終わってしまうのはとてももったいない気がする。だがどうなのだろう?3−5年の公的研究費執行停止期限の後、氏はまた復活するのだろうか?氏ならばあり得る気がする。ただ、2億円以上の不正経理の落とし前がどうなるのかは、私には想像ができない。
このニュースを聞いて、(自分は今預け金をしていない)多くの研究者のレスポンスは、「まだそんなことをしている研究者がいるのか?」と言うもの。そう、確かに10年ほど前までは預け金はみんな普通にやっていた。それがいい悪いは別にして、それで大きな問題になるという認識はなかったのだ。これは研究者に限らず行政組織でもそうだったと認識している。
だが2006年のいわゆる松本和子事件で状況が変わった。検収制度というのが出来て、ちゃんと注文したものが納品されているのかを機関の第三者がチェックするという制度ができた。私も、その時の制度の大きな変化に驚いたことを憶えている。それと同時に、この時から研究者の間では「預け金をしたらアウト」という認識も広まったはずだ。
私は詳細は知らないが、その後、「預け金をしているなら今言って精算したら許してやる通知」というのがあったらしい(それも2度ほど)。それにもかかわらず言い出さず、あとで預け金がバレて処分を受けた研究者を何人か知っている。その研究者たちは、時流を読めなかった犠牲者とも思える。
さて、私の想像だが、件の教授のケースでは、あまりに額が大きすぎて「許してやる通知」の時に言い出せなかったのではないだろうか?報道によれば「許してやる通知」で5億円ほどの預け金が出てきたらしいが、1人の研究者がそれに2億円も上乗せしたらやはりただことでは済むまい。それで言い出せず、かと言ってそんな大きなお金を今動かしたら、「一体どこからそのお金が出てきたの?」となってしまう、まさにがんじがらめの状態だったのではないだろうか?
この預け金が、件の教授がごく最近動かしていた巨大研究費からのものではなく、10年程度前の研究費からのものであることがそれを物語っているように思う。もし、ごく最近の巨大研究費からも預け金をしていたとなると、言い逃れのできない確信犯だということになるだろうが・・・(一億円以上も預け金があってそれ以上必要とは思えないが)。
さて、巷(Twitter)では、この研究費不正によって、また研究費の使用について締め付けが厳しくなるだろうという意見がある。しかし。私はそうは思わない。なぜなら、上記のように、この不正は締め付けが厳しくなる前に行われたものであり、それが言い出せなかったことが最も大きな原因だと思うからだ。
現在の「締め付け」は十分に機能しているし、それによって研究者の倫理観も変わった。だからこれ以上締め付けが強くなるとは思えないのだ。
最後に。イケイケ教授の講演を少し前に聞いたが、氏のぶっ飛んだ仕事はこれからさらに大きく弾けそうな雰囲気を感じさせていた。ここまで積み上げてきたものが霧散するというのは、不正が如何に恐ろしいことかということだ。
52歳であれば、いよいよこれからというところ。それが終わってしまうのはとてももったいない気がする。だがどうなのだろう?3−5年の公的研究費執行停止期限の後、氏はまた復活するのだろうか?氏ならばあり得る気がする。ただ、2億円以上の不正経理の落とし前がどうなるのかは、私には想像ができない。
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by hisaom5
| 2015-12-26 17:32
| 雑記